杜の都のSF研日記(アーカイブ)

旧「杜の都のSF研日記」http://d.hatena.ne.jp/sftonnpei/ 内容を保管しております

読み物

  • ネタばれ注意!

時の扉をあけて (創元SF文庫)

著者が偶然手に入れた四冊のノートに書かれた、時間を旅したある男の物語を、ノートにあるまま作品にした、という設定で書かれた小説。著者はこの話が真実なのだ、と言いたい様子。
文章は特に魅せるようなものではなく、ただ事実をそのまま連ねただけ、と言う感じ。設定上、主人公の書いた文章をそのまま掲載しているということになっているので仕方ないのかもしれないが。内容も特に魅せるようなものはなく、展開がある程度よめてしまうのは残念。伏線は一応敷いてあって、読めば納得するようなところもある。ちなみに、愚かなわたしは、伏線は二回以上作品を読まないと気づかないところもあるので微妙にわからなかったところもあるのだが、もう一度読む気にはならない。
祖父の遺産として残された屋敷の三階には50年前に繋がる扉があった、というタイム・トラベルものであるこの作品では、主人公が過去を変えようとするものの、記憶喪失になっていたため失敗する。失敗した直後に記憶が戻ったところから、過去を変更するような行動だけは行えない、という設定になっている模様。また、同じ時代にいる同一人物はお互いに姿を見ることができない(触ることは可)という設定もあった。

時間泥棒 (創元SF文庫)

ホーガンらしくない作品。案の定、アイディアは他人のものだったらしい。
ニューヨークで時間が遅くなり始めた。しかも、場所によって遅れ方が違う。これに対して、ある物理学者はエイリアンが時間を盗んでいるのだと主張する。窃盗罪…、ならばこれを解決できるのは彼らしかいない。さぁ、立ち上がれ、警察官! という話。エイリアンに対して何故警官?…とは思うものの、どうしようもない。結局、犯人は時間を食べる虫だし。余談だが、時間が遅れている場所を周りから観測すると赤くなって見えるそうな。
ちゃあしう氏によると、昔ラジオ番組で放送していたらしい。ホーガンの作品をラジオ放送する、というのは多少違和感があったが、この作品なら納得。まぁ、軽い作品である。

宇宙捕鯨船バッカス(中島 望)

SF。ただし、『サイエンス・フィクション』ではなく『スペース・ファンタジー』である。
まぁ、それなりの作品。宇宙に住む鯨を捕まえるための船に、地球を捨てたい少年が乗り込む、という話。