杜の都のSF研日記(アーカイブ)

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マイノリティ・リポート―ディック作品集 (ハヤカワ文庫SF)

短編集。『マイノリティ・レポート』と『追憶売ります』は面白かった。ただ、内容はSFというよりラノベにちかいかな、と。あと、映画の『マイノリティ・レポート』は原作とは違いご都合主義のエンディングになっており、『ブレードランナー』は話の起伏のない少々古い作品で、意味は無くとも手に汗握る見せ場の重要性を実感させてくれる作品であった。

エンダーのゲーム (ハヤカワ文庫 SF (746))

ヒューゴー賞ネビュラ賞受賞作。関係ないが、かの英雄スペクトルマンの出身は遊星ネビュラだったような気がする。
少年エンダーの成長(というより苦悩)を描いた作品。面白い作品だったが、これもSFというよりラノベとして楽しんだ。細かい設定などを気にしてはいけない。その辺はかなり適当に描かれている様子。それにしたって、ゲームだと思っていたら実は実戦でしたとか、神風アタックさせた友人がみんな死んでなかったりとか、皆殺しにされた宇宙人がエンダーを許すメッセージを残していたりするのはご都合主義にもほどがあるのではないかと思わなくも無いが。

ブルースカイ (ハヤカワ文庫 JA)

桜庭一樹の作品で久しぶりに面白かった作品。ゴシックとかは人気のわりにあまり好きではないのだが。
三部構成で、第一部を読んでいるときは駄作かなと思っていたが、二部三部は面白かった。第一部は『子供から女になる過去』、第二部は『少年は青年となり、大人にはならない未来』、第三部は『少女がいる現代』といった三つの時代を扱った内容で、全体では『少女』というものがテーマだろうと思う。ただ、読み終わった今でも第一部の内容には理解できないことがあるし、どうにも微妙。
ちなみに、作中では携帯は『せかい』と自分を繋ぐものなんだ、という某アニメーションを思い出させることが一つのテーマになっている。我輩は携帯とは自分と世界を鎖で縛るものだと認識しているような手合いであるため、どうにも『セカイ系』を理解するのは難しそうである。