杜の都のSF研日記(アーカイブ)

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読書

4000億の星の群れ (ハヤカワ文庫SF)

4000億の星の群れ (ハヤカワ文庫SF)

それほどつまらなかったわけでもないが、期待していたほどではなかった。
というより、帯の煽り文句*1に騙された、と言うべきか。ファーストコンタクトものであるのは確かだったが、私はもっと理解不能な、人類とは全く別の精神構造をした知性体との遭遇を期待していただけに、真っ当すぎて物足りなかった。理解しあうことなどできない二つの種族の共存の仕方とは、という話が読んでみたかったんだがなぁ。残念。

ミッションスクール (ハヤカワ文庫JA)

ミッションスクール (ハヤカワ文庫JA)

あとがき*2が泣けた。
まぁ、この内容を電撃hpでやったら毛嫌いされて当たり前だと思うが。前々から田中哲弥を知っている人ならともかく、いきなりコレから読んだラノベ層は普通逃げるだろう。
と言いつつ実は私も最後の一話を読むまでこの本の読み方がわかっていなかった。
「ねぇ、薫って呼んでくれないかな」
「なんで?」
「だって、ぼくたち恋人同士じゃないか」
という、突然の男キャラによる主人公(男)に対する恋人宣言まできて、やっとこの本がネタでできていることを理解したのだった。解ってしまえば納得で、『高校生の振りをした凄腕のスパイ』、『突如超能力を手に入れてしまった女子高生』、『とにかくもてる主人公』などというラノベの基本の設定をかなり変な感じでデフォルメした作品ばかり。
ちなみに個人的には『ポルターガイスト』が面白かったかな。

ふわふわの泉 (ファミ通文庫)

ふわふわの泉 (ファミ通文庫)

太陽の簒奪者 (ハヤカワJA)』に続く、野尻抱介第二段。
正直な話、これを読むのなら『第六大陸』を読んだほうがいい。 それなりにしっかりしたSFなのだが、ラノベで出版するためか細かい描写を極力排している節がある。そのせいで、ある程度以上の年齢の人間には物足りないのではないかと思う。子供向けのSFという感じ。

*1:テレパスである彼女がコンタクトしたもの――それはあまりに異形で、グロテスクで、人類の想像を超えた知性だった……。

*2:なにがいかんのでしょうねとそのときの担当編集者に相談したら本当にそんなこともわからず書いていたのかと怯えたような呆れ顔で、ライトノベルというのは純真な夢見る少年少女が読むジャンルであってこのようなものが受け入れられるはずがないではないかなに考えとるんじゃと諭され、ええとあのライトノベルってなんですかと頭掻きかき訊ねたら、わかったわかったなんでもいいからもう続きは書くなもはや我慢の限界なにこれまとめて電撃文庫で出版ばかこけこんなもん出せるかい臍から裏返って反省しろと説教された。