杜の都のSF研日記(アーカイブ)

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ひさしぶりにラノベについて

クジラのソラ 01 (富士見ファンタジア文庫)

感想を聞かれたのでここに載せるわけですが、一言でいうと『王道すぎ』なんですよね。この間のゲド戦記のレジュメでも書きましたが、面白いと云われる作品でも、どの程度の読書歴があるかによって評価が変わると思うんです。下に具体的に書きますが、基本的に王道にのっとって書かれているこの作品は、いくら基本を押さえていようが今更私が面白いと思うことは難しいのでありました。・・・というわけでこの作品は趣味ではないのです。


ここからはネタばれ多めでいきますので気をつけてください。ええと、上で述べた王道とはどういった点かということを書きたいと思います。あらすじはアマゾンで読みましょう。
・主人公は天才技術者
・表舞台から退いていた主人公は、明るく強気なヒロインに連れられて再度表舞台へ
・追い詰められたヒロインは最後の最後で才能が開花する
本当はもっとあるんですが、時間もないので要点だけ。この三つが集まれば一つの作品を書くこともできるわけですが、どう考えても意外性がなさすぎました。そのうえ、それぞれの展開を深く描くことができていませんでしたし。政治的なことを少し書いてみたり、主人公の心理描写をしている一方で、それぞれに厚みがないというか、納得がいかないというか。ほめられる部分があったにしても、全体的に内容が薄く、しかもありきたりの展開とあっては面白いと感じるのは難しいところです。まぁ、一巻を舞台紹介として捨てて二巻以降を面白くする、ということもあるかもしれませんが、あまり期待する気にはなりませんね。

ロクメンダイス、 (富士見ミステリー文庫)

以前話に出たことがあったので、ついでに書いておきます。
さっき気づいたのですが、『黒白キューピッド (集英社スーパーダッシュ文庫)』を書いた人の作品ではないですか。こちらの作品は私は結構気に入っているのですが、様々なブログで酷評されていたような記憶があります。
それはさておき、こちらの作品は恋愛が主体なのであまり興味が持てなかったため、かなり酷い流し読みをしました。そんな私の感想ですが、この作品は確かに僅かながら奇書のにおいがしました。少し配線がズレた作品というか。『ドグラ・マグラ』などと比べることはとてもできませんが、ラノベの中では数少ない奇書の類だと思います。
面白いとはいいませんが、上記の作品よりならこちらを読むことをお勧めしておきます。