テクノ系とハード系(音楽ではありません) J・J・ナンス「軌道離脱」
- 作者: ジョン・J.ナンス,John J. Nance,菊地よしみ
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2007/01
- メディア: 文庫
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宇宙旅行に出発。軌道を4周して帰る予定だった。しかし、突然の事故で操縦士は死亡し機体も損傷。
生き残るすべはあるのか?
作者は一昔前にデイル・ブラウンやクランシーなんかとまとめて「気鋭のテクノスリラー作家」とされていた。
「核弾頭メデューサ」みたいにミニシリーズ化されてるものもある。これも映画化権獲得済み。
ところで、同じハヤカワNVで「スタローン主演」の帯も眩しい極北のハンター〈上〉 (ハヤカワ文庫NV)・極北のハンター〈下〉 (ハヤカワ文庫NV)の映像化はまだ(以下略
内容は宇宙旅行というものが現実になろうかというところに差し掛かった現代ゆえの作品。
思えばSDI・スターウォーズ計画ネタの(一部トンデモ含む)軍事フィクションもNVで出ていたことがある。
「軌道傭兵」だってSFではないはずだったわけで、時代の流れがSFとフィクションを分けるのを見るのはなんかつらい。
近未来宇宙開発とフィクションのカンケイはそのうちまとめてみたいところ。月を目指す美少女orオヤジのダブル映像化も控えていますし。
主人公の言動・行動が知らない間に世界に伝わり、感動を呼ぶと言う構成はよくある(流行り?)がネットが絡んで世論を動かす
ところがミソ。いろいろと困ったことに使われるあんなものが主人公を一躍有名人にするとは。
あと「亜宇宙漂流」的に落ち目のNASA内部での黒いひとこまはリアルすぎて笑えない。まだまだ民間で文字通り「軌道に乗る」
ことができるところは少ないけれど、弾道弾の平和利用・小型衛星打ち上げ専用機と着実にレベルは上がってきているわけで
国家にしかできない何をするかがターニングポイント、なんだろうか。
しかし人命救助とはいえ対衛星ミサイル(しかも発射機がF-106!ってここで喜ぶ奴がいるかっ!)で衝突前のデブリを破壊するという
のはどこまで許容されるんだろうか。日本での発行時期が重なっちゃったのは不幸ではある。
そういや、劇中に登場する宇宙船はロッキードL1011改良型で空中発射される有翼宇宙機「イントレピッド」
イメージとしては中止されたX-34+SS1+DreamChaser?
(そんな効率悪そうなとか実現可能性低いとか言わない。逆にそれがロマンかどうかは知らない。)
イントレピッド*1とシャトルとトラブルは愛称が良いのか?
・イントレピッド号強奪指令〈上〉 (新潮文庫)・イントレピッド号強奪指令〈下〉 (新潮文庫) ソ連がシャトル開発に失敗、米シャトルの工作員による強奪作戦を立てる
・「軌道傭兵」 NASAの退役シャトル「イントレピッド」を買い取ったオヤジが宇宙ビジネスをはじめようとして
いろいろな人たちに巻き込まれる or巻き込む そして利用する。以降社の宇宙機は全て「イントレピッドn」と命名。
・「ST・ヴォイジャー」 イントレピッド級U.S.Sヴォイジャーは未確認宙域へワープしてしまい、孤独な旅を続ける
参考リンク
オラクルの開発者向け懸賞、優勝者が宇宙旅行の優勝賞品を返上・意外なからくりとは?
http://www.technobahn.com/cgi-bin/news/read2?f=200701302230
USAF ASM-135 ASAT SRAM改造空中発射型ASAT
ttp://weapons-free.masdf.com/air/usa/asm135asat.html
*1:大胆不敵・蛮勇と言った意味合いがある