杜の都のSF研日記(アーカイブ)

旧「杜の都のSF研日記」http://d.hatena.ne.jp/sftonnpei/ 内容を保管しております

疾走する機械たちの咆吼 神林長平「魂の駆動体」&海猫沢めろん「零式」

魂の駆動体 (ハヤカワ文庫JA)

魂の駆動体 (ハヤカワ文庫JA)

零式 (ハヤカワ文庫JA)

零式 (ハヤカワ文庫JA)

メカとヒトの物語を二連続で読んでいた。どちらも地を這う機械の話だ
「駆動体」
人々が仮想世界へ移住する中、男は失われた理想のクルマを求め設計を始める
一方遠未来、人類史学者たちは遺跡から復元した物にヒトの体で調査を行おうとしてある設計図を見つける
後半の展開には一応最後に種明かしがあるが突っ込むのは野募というもの
人間を模した体をもちアンドロイドとの生活のなかで人間を探ろうとするあたりは
いつもらしいが、いったん幕が降ろされた魂とメカの関係がやがて双方が呼び合う形で再現され
野を走り始める様は見事。フムン。


「零式」
敗戦後帝国の占領下で鎖国中の「皇義神国」。最後の原始駆動機乗りが一人の少女と出会ったときから
全ては変わり始める
「人機魂沌」をまさに文章で、イメージで見せてくれる快作。ワイドスクリーン・バロック
狂気が全てを加速して文字通り壁にぶつかっていく感じだ(日本語になってないぞ)
ニヤリとする部分は多いが、三連可変焦点眼鏡には笑わせて頂いた。確かにあの親父には
ヤツの赤い肩が乗り移ってそうだ。


しかしクルマと二輪に関しては知識不足を痛感する。愛されるには愛してやらねばなるまい
もう少し勉強しようかな 実物を手にするのはまだまだ先になりそうだが
(やきぶた)