杜の都のSF研日記(アーカイブ)

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広瀬正「マイナス・ゼロ」

マイナス・ゼロ (集英社文庫 141-A)

マイナス・ゼロ (集英社文庫 141-A)

タイムトラベルモノの名作。パラドックスにも正面から挑んでおり、その論理立てが巧い
(推理ファンからの人気が多いのもうなずける)だけでなく、いろんな方面から描写される
戦前の人々の暮らしを切り取った風景描写がよい。巻末の日本とアメリカの昔の年代に対する
懐かしさというのは「いったん壊された」という点で大きく違うんだというのがいかにも分からされる。
でもやっぱりDNA鑑定がどうなるかは今だと気になるなぁ(ぉ
 どうしても戦前+タイムトラベルというと「蒲生邸事件」と比べたくなるが
あっちは一種の歴史の観測問題とトラベラーの倫理を扱ったものなのでまぁ、
向かうところも着地点も違うのが当然でしょう。
蒲生邸事件 (カッパ・ノベルス)

蒲生邸事件 (カッパ・ノベルス)

この頃の表紙が好み