杜の都のSF研日記(アーカイブ)

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もう一回見た気配 「デジャヴ」考察など

部室で私が独断で選んでしまった濃ゆい映画三本立て参加の皆様お疲れ様です
別の機会にはまた違う人が選んでくるとまた面白いのではないかと。
というわけでそのうちの一本、「緊迫のタイムリミットアクション」(公式サイト)「デジャヴ」について
前回のエントリhttp://d.hatena.ne.jp/sftonnpei/20070407#1175952285
でもいろいろ触れましたが今回はレンタルDVD版でいろいろと謎を追ってみたり

デジャヴ [DVD]

デジャヴ [DVD]

以下ネタバレありなのでご注意を

一番大きいのはこの映画を「アクション・スリラー」と売り込んだことが
どういう影響を与えたか、ということだ。あえていおう、これはSFであると。
誰だよ後半ファンタジーになっちゃうとか大法螺こいた評論家はよぅ。
まぁ、想像することはできる
仮説1:SFと名乗れば売れない
仮説2:SFファンの厳しいツッコミを封印
でもそうすることでSF屋が見る機会を失ったんだとするとちょっと残念かもしれない。
一粒で三つおいしい(一般的捜査サスペンス 近未来スリラー 時間SF)というのは
結構面白い構成では在るし。

まぁ、中盤に行くちょい前に「これは監視システムじゃなくてリアルタイムなんだろ?」と主人公が
看破して実はワームホールでしたと即効でばれる+主人公の行動が「アイランド」の逃亡犯二人ばりに
都市破壊を繰り返していてむしろ迷惑にしか見えないのが難点か。


時間物としてみるなら話は非常に分かりやすくはなる
いわゆる改変不可能に一見見せかけた時間分岐型。
しかしいくつか謎は残る。

  • 最初の事件のとき(おそらく改変のためにやってきた)ダグはどこへ消えたか?

 ダグが携帯を取ろうとしたら鳴っていたのは死体袋の携帯だったというシーンがある
 ここから単純に「過去に来たダグはクレア殺害&爆破を阻止できずに巻き込まれて死んだ」
 と考えるのが自然。 しかし重大な問題が一つ。同じ携帯が同じ時間軸に二つあったらどっちが鳴るんだ?
 (これって「プライマー」でも問題になってたはず 文字通りのクローン携帯
 あと、どうでもいいが二つの携帯の着信音は微妙に違う。

  • 最初の事件のときラリーはなぜ港に?

 ラリーとダグは元海兵隊員なので空母乗員のパーティに参加するのは不自然とは言わないが
 なんか引っかかるものがある。乗り降りのシーンを見る限り一般参加者もOKだったようだけど

    • 実は「前回」もメモを送ってラリーがそれを発見、殺された?

 第一の事件と第二の事件では時系列が違うはずなのに川岸の家には焼けた後+腕がワニに。
 「死に方が変わっただけで何も変えていない」というのはちょっと断定しかねる
 ちなみにあの腕は第一の事件で犯人に殺されたダグのものという説もある。
 掌は白いからといって断定は出来ない(掌の色はあまり肌の色には依存しない)

  • 最初の事件でクレアが殺されたのはいつか?

 少なくとも電話に出たときは生きてないとおかしい(はず)なんだが

  • 最初の事件でクレアの家にあった血痕等は?

 デジャヴを印象付けるシーンだけにダグのもの、としか考え付かないが・・・
 捜査情報に(生きている)ATF職員のデータが入ってない可能性はあるので、
 三日近くたってもクレア宅の血痕の正体が判明してない可能性はある
 かもしれないがそれだと相当な職務怠慢である。
(追記)

    • タイムウインドウは軍事機密なので、ダグの死体は時間改変の可能性を疑った上層部が隠蔽している

 陰謀論陰謀論。オッカムオッカム。

    • もっと大胆な仮説

 「一回目の救急車の突入は結局間に合わず、クレアは犯人が殺害・連れて行った後だった。
 ダグは『次の自分』に未来を託すため 家に"u can save her"のサインを残して身支度を整えた後、
 爆破事件を阻止するために 港に向かって結局阻止できず命を落とした」なんてどうでしょうか
 ・・・むぅ、ATFにかけた電話の説明がつかない。 もうちょっとひねって
 「救急車で突入後クレアを救助、ATFに電話で確認して二人で阻止に向かったがそろって返り討ち
 改めてクレアは当初の予定通りに焼かれて放流 ダグは困ったのでワニの餌」 とか?
 妙に馴れ馴れしく、神を気取る犯人の態度の裏には「俺はあんたを一回殺したんだぜ」なんて意図があったりして。いやまさか?


矛盾しない時系列を作るのはちとむずいかも。
困ったことに(これはわざとだろうが)クレアの正確な死亡推定時刻が伏せられているので
確定できない。


とりあえずいまのところ分かっている事実と疑問点をまとめた時系列順イベント表がこちら
当然穴はあると思うのでちょくちょく直していきます
(追記)
当然といえば当然だが、この表には無い「最初に過去に戻った時系列」が何回(ヘタすると何十回前)
に存在することになる。
「デジャヴ」の意味するところは主人公の既視感+観客の「あ、そういえばこれあったよね」
だろうが、ダグが初めて死体を見て「なんとなくこの女見たことあるな・・・」というのは
流石にないはず。それなんてひg<<この部分は権利者により削除されました>>

http://en.wikipedia.org/wiki/D%C3%A9j%C3%A0_Vu_(film)
現在は消されているが、かなり「熱い」議論があったようで、履歴を見ると
矛盾点などの鋭いツッコミがある。ちなみにこの映画のジャンルはここでは伏せられてはいない(何)
張られていた時系列表
http://upload.wikimedia.org/wikipedia/en/a/a2/Deja_Vu_Timeline.GIF

    • トーンコントロール 『デジャヴ』レビュー&解説

http://tonecontrol.mods.jp/
「デジャヴ」のレビューに独自の考察がある。
DVD前にこれだけやってるのは驚き


やっぱりコメンタリつき完全版買うしかねーかなぁ。「バタフライ・エフェクト」の
完全別バージョンエンディングも製品版じゃないと付随しないし。

レンタル版の「衝撃の別エンディング!」はただラストが少しづつ違うだけじゃないか!
(ちゃあしう)