小川一水 「天冥の標1 メニー・メニー・シープ」&「2 救世群」
「正確な計測、のためには、ずっと座ったまま静止している必要、があります」
「静止すればいいじゃないか」
「それでは洗濯、ができません」
天冥の標〈1〉―メニー・メニー・シープ〈上〉 (ハヤカワ文庫JA)
- 作者: 小川一水
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2009/09/30
- メディア: 文庫
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天冥の標〈1〉―メニー・メニー・シープ〈下〉 (ハヤカワ文庫JA)
- 作者: 小川一水
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2009/09/30
- メディア: 文庫
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惑星の持つエキゾチックな情景と、故障した宇宙船から脱出したという制限のために発達した現実とはちょこっと違うテクノロジー、そして異種族が混在する世界で始まる「革命」のゆくえ、というわけでいつも通り安心して読める(で、実際面白い)…とおもったら最後でえぇ〜っ!となってしまうこの展開。続きが非常に気になる。今までのところ鍵を握る6種族のうちバリバリ活躍が3と言った感じ。果たして以後どう出てくるのか。内蔵電源までつけて「祈りの海」ほどではないにせよ海に依存する生活への適応を図った「海の一統」*1の物語がどこかへ行ってしまわないかだけが気がかり。
キャラ立ちではサド女司令官が印象深いか。使えない男に対する処遇はちょっと懐かしい印象。
台詞は宇宙船に乗っていた太古のお手伝いロボ*2のもの。「恋人たち」を含めて本作は気が効くAIが多いな。って一人(?)事態を上から見ている曲者がいるのだが。こいつが何を「させたい」のかも気になるところである。
そして今年発売されたのがこちら
そこで、一冊の日誌に五千ドルの懸賞金がつけられることになった。
警察と町の人間がこぞって道端の紙くずやゴミ箱を漁りまわるという、前代未聞の大騒ぎがくり広げられ、
警察署にはでっち上げの適当なノートを手にした人間が押し寄せた。
- 作者: 小川一水
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2010/03/05
- メディア: 文庫
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近年のSARSや新型の流行でも注目された「感染者の経路」の把握や世界規模の情報共有、そして今だからこそ難しい隔離の実態と言うのが眼をそらすことなく描かれる。パンデミックと言うのが人災に「なりうる」可能性や、感染してしまったがゆえに受けてしまう扱い・対処については「復活の日」から大分状況が違うものだというのを感じさせる。バイオテロで自転車に乗ってえいこらしょ、という例の映画の脚本家は10回読め。
今回は希望30%分(もちっとあるか)ぐらいで終了。舞台に並ぶ顔見せもだいぶ進んできたところだが、次巻でもまだ半分にいかない状況からどこへ話を動かすのか眼を離せない。最後の方でちょっと谷甲州「パンドラ」っぽいものを示唆しているが、まさか地球ではその後…??
- 作者: 谷甲州
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2007/11/22
- メディア: 文庫
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(ちゃあしう)