杜の都のSF研日記(アーカイブ)

旧「杜の都のSF研日記」http://d.hatena.ne.jp/sftonnpei/ 内容を保管しております

ジェームズ・キャメロン「アバター」

"I see you. "

やっと見た。
http://james-camerons-avatar.wikia.com/wiki/Avatar_Wiki
ストーリーについてはあえて語るまい。確かに日本のいろんなアニメを研究して、一番分かりやすく仕上げたという感じにできている。でも、やっぱりなんか足せと言われたらアンオブタニウムに関する何かだろう。あれじゃマクガフィンにすらなってない。パンドラに貯まったエイワの知識・精神が鉱物になるまで凝縮したイデオナイト*1みたいなものとでもなんでも説明はつけられるだろうに。そうすれば人類がそれを使う=破滅なんて話の方向も作れて一挙両得…って上映時間がさらに伸びるか。文字どおりにネットワークされてる自然をビジュアル化というのは面白いんだが、もう一声ほしい。倒された木ぐらいとまでは行かなくとも、ある程度の大きさの「怒りの総体」を期待してたので。


全世界大ヒット(ただし日本を除く)ゲームシリーズ「Halo」と比べてる人もいるようだが、コヴナントは反重力メカばっかり使ってるし、あんまり自然と調和って感じがしない*2。あってるのは「エイリアン2譲りのオタクなミリタリー調」だけだろう。Haloの初期案ではコヴナントの乗物として2足歩行の生物を出し、なぜかUNSCの皆さんやチーフも敵味方関係なしに乗れるという設定だったらしいがボツになったそうな。そういう路線を進めていたらまた別のものになったかもしれない。
…でも「アバター」のあんな映像を出されると、今さらHaloを映画化してもHaloマニアとリングワールドマニアぐらいしか感動しないかもしれないというのがあるな。ボツになったHalo映画化企画は"District 9"こと「第9地区」で4月10日に日本公開も決定。日本でも(難しいのぐらい分かっているが)ヒットしてほしい。あちらでは9/10とかなり高評価だったんだが、あとは売り方次第か…??
http://d-9.gaga.ne.jp/


あと、憎らしいキャラのくせにいちいちカッコいい大佐。基地脱走時に「全員マスク着用。」とだけ告げて管制塔のドアをブチ破り、他の隊員が気密が抜けて右往左往している中、有毒大気の外へずかずかマスクなしで出て行ってライフルを撃ちまくり、マガジンが空となれば拳銃も空になるまで撃ちまくる。おっとり刀でマスクを持って駆け付けた部下からマスクを取って装着して一呼吸とか、自ら拳銃で取りついた主人公を振り落とさんとするとか、墜落する機体の爆発を背景にAMPスーツで着地するとか見せ場多し。ラストバトルも自分の見たかったものそのものだった。初期の活躍を描いた10分ぐらいの短編作りませんかキャメロン。一方、もう一人の悪の親玉は死にもせずに本国送還。まぁ、あれは地球で干されるからいいか。


3D映画としてみると、自分が見たXpanD方式は止まっている映像のシーンでブレが目立った。価値ある映像ではあったが、ちょっと他方式との違いが機になるところではある。あと今後3D映像が主流になるならば、某ゲームの歴代オープニングを3D化してただ続けて流すだけでも金取れると思うんだがどうか。プロモーションとして検討してほしい(何

おまけ

・先に「サロゲート」を見たので、逆に分身賛成大勝利な展開にちょいと驚きを感じた。ちなみにアメリカの公開順もサロゲートアバター
最後のシーンの「分身が本体」というのも最近じゃなかなかない
海兵隊員の死にっぷりが凄かったが、一番悲惨なのはタレットで押し出す予定の爆薬が… の人だろう。あんな死に方はご免だ。
戦闘シーンをまとめて「鉄のララバイ」をバックに流すMADが出るはず。
・イーガンは「もののけ」のほうがお勧めだそうで。まぁ、映像のために色々犠牲になってるものは多いし。
イーガンのサイト
http://gregegan.customer.netspace.net.au/ESSAYS/AVATAR/Avatar.html
ギークでなくナード アバター
http://d.hatena.ne.jp/imakitasangyo/20100110
ばべのれ 「グレッグ・イーガンが『アバター見るならもののけ姫見ろよ!』とか言ってた件について。」
http://d.hatena.ne.jp/seiunn3032/20100206/1265482238
ジブリを見るイーガン、うーむ。ますますイーガンの像が絞れない。
・ゲームという見方で読み解くアバター
冒険野郎マクガイヤー@はてな 「ゲームの世界で、おれは生きる!:『アバター』」
http://d.hatena.ne.jp/macgyer/20091226/1261771752
たしかにゲーム的。生身で戦わなかったのが意外すぎるぐらいだが、ゲーム世界の大勝利と考えれば納得かもしれない
ゲームの方も結構気にはなる。
(ちゃあしう)

*1:イデオンを構成する金属で分子サイズのコンピューターの集合体。その正体は第六文明人の吸収された魂であり、全宇宙のエネルギーの全てがそこに詰まっているという超トンデモ物質

*2:そもそもHaloの自然を作ったのは創造者たるフォアランナー。このへんはパク人がリングワールド内に他の異星人たちの環境を再現してたのと似てるかも