ジョナサン・モストウ「サロゲート」
最後にENTERだ!
何をしてるんだ、ENTERだぞ!早く押せ!
…そうだ、「SHIFT+ENTER」だ!
人間の脳波で遠隔操縦でき、理想の外見と体力・究極の「安全」を手に入れられる自分の分身ロボット「サロゲート(代行者)」。この機械の登場は世界を大きく変えた。障害者や軍人だけでなく一般人もこれを使用し始め、国家もサロゲートによる「代替」を認証。犯罪は大幅に減少し、今では98%もの人々がこれを保有して仕事に娯楽に利用している。一方でロボットを嫌悪する一部の人々は各地に「独立区」を築いてサロゲート排斥を訴えていた。
そんな中あるサロゲート利用者が襲われ、サロゲートが破壊されただけでなくその利用者も殺害されるという殺人事件が発生する。数年来の殺人事件に沸き立つFBIは捜査を開始する。事件捜査はやがてサロゲート社会を震撼させる大事態へと進展してゆく。
原作はグラフィック・ノベルらしい
The Surrogates (Surrogates (Graphic Novels))
- 作者: Robert Venditti,Brett Weldele
- 出版社/メーカー: Top Shelf Productions
- 発売日: 2006/09/12
- メディア: ペーパーバック
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キュッと公開規模がしぼんでいくのを見ながらも、「テレイグジスタンス」テーマ、かつ「石黒教授がチラっと出ている」というだけで見に行かなければと思っていた作品。冒頭の歴史紹介に出てくるだけだが、技術としてはズバリその延長上にあるといえる。
- 作者: 石黒浩
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2009/11/19
- メディア: 新書
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- 作者: 石黒浩,池谷瑠絵
- 出版社/メーカー: PHP研究所
- 発売日: 2010/01/21
- メディア: 新書
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ちなみに休日だが十数人というところ。思ったよりは多かった。
90分で「キルン・ピープル」みたいな話は出来ない(というか、されても困る)ので期待しなければそれなりに見られる映画ではある。サロゲートになるとフサフサで草薙素子並みの超人なのに、生身になると男二人にフクロにされるほどヨボヨボのおっさんブルース・ウィリスに時代の悲哀を感じる。気味悪さまでも浮き立たせるサロゲートメイクと、対比して描かれる「中の人」というのはよくできている。
しかしまぁ、ヤマとオチが予想の範疇の上、予告のアレがあーなっちゃうとやっぱりハリウッド的にそう冒険できない&しないという空気+近年の予告の作り方には大きく疑問を感じてしまうな。あとモストウはこれからもT3の亡霊を背負っていくのかとおもうとちょっと可哀そうな気がしなくもない。
ここから先はネタバレ全開でいくので注意
サスペンスとして見ると
・フーダニット…関係者が少ないうえに被害者が被害者(元の開発者の息子)なので必然的に候補は絞られる で、結局予想の範囲内におさまる
・ハウダニット…それほど意外ってわけでもない ありがちとは言わないが、「そうきたか!」という驚きはない
で、残った肝心のホワイダニットが全然濃くないので所詮こんなもんか…という感想になってしまうのがある。そしてラスト。結局人類引き籠ってるんじゃない!分身反対!というヒジョーに分かりやすい展開であり、接続中の人間まとめてシンギュラリティとか人類の革新とかではなく「元に戻った」だけ。主人公と奥さんの半引きこもり生活を見ていればまぁそういうオチなのは予想がつくがやっぱりもうちっとでかいビジョンを見たいという気持ちはある。一方で黒幕の「治療」という領域へと至るへのプロセスはまるで見えてこないため空回りしている感がある。まぁ、「息子との関係がサロゲートでしかなくなった」等の伏線はあるものの。最後の選択も結果が見えるためか引っ張る割には盛り上がらない。でも、予告の「動かないサロゲートが横たわる街」に出てくる生身の人々が皆パジャマだのTシャツ一枚だのというのは面白いビジュアルだ。
ガジェットは10数年未来ということでUSBメモリやメカニカルキーボードが普通に使われ、車なども変わってない本当に「現代にサロゲートが来ただけ」の未来。せいぜいサロゲート公共充電器があるくらい。案外変わらなさそうな気もするのでそうこだわる必要もないとは思うが、サロゲート経由でキーボード操作をするのは流石に無駄な気がする。脳波読んでるんだし。流石に98%の普及率も難しいだろう。
あとは最後にかかわる二つのもの
「通常は一人一体かつ他人のは使えない筈なのに、それを超越している特製サロゲート遠隔操縦装置」
「脱法スレスレのFBI謹製サロゲート強制停止装置(暴行・強盗事件などが発生した場合、それを止められる)」
ルール違反とは言わないが、登場した時点でどういう使い方をしようとしているかは予想がつきまっせ。
・他の近未来テクノロジーサスペンス物、たとえば「アイ、ロボット」とか「アイランド」とかと比べるとやっぱり「規模」が違うのを感じる
まぁ、特殊メイクとちょっとサイボーグっぽいアクションをCGで足すだけでできる点では楽だったろう。ちなみに自分の中では、この系譜に「マイノリティ・レポート」「劇場版パトレイバー」も入る。実現可能性はどちらも低いけれど。
・感想とか
「スキルズ・トゥ・ペイ・ザ・¥ 人間だもの サロゲート」
http://d.hatena.ne.jp/Dirk_Diggler/20100123/p1
キルン・ピープルが面白かったのは「パラレルな人称」ゆえに可能な進行ゆえだったのかな などと今になって思う。サロゲートにおいては「遠隔操作」はそこまで分裂した人生観を提供してない感じがする。まぁ、劇中にはサロゲートネカマみたいな奴もいたけれど。