杜の都のSF研日記(アーカイブ)

旧「杜の都のSF研日記」http://d.hatena.ne.jp/sftonnpei/ 内容を保管しております

三半規管をHAKAIする 〜クローバーフィールド〜

国防総省の極秘映像資料・暗号名「クローバーフィールド」。それは元セントラル・パーク付近で回収されたSDカードから復元された、とある民間人によるマンハッタン島壊滅をめぐる貴重な映像資料である。


というわけで偽ドキュメンタリーと言う形式をとった恐るべきディザスターモンスターパニック映画。かの「宇宙戦争」もよく似ているが、カメラが一人称となるだけで緊迫感は二倍増し。そして何かとカメラ写りのよかったトライポッドと違ってちらちらとしか画面に登場しないクリーチャーが「容赦のない恐怖」を演出する。やっぱりアメリカ人もマグロ食ってるヤツじゃ満足してなかったと言うことを確認できる意欲作。そして人によっては史上最悪の脳みそシェイク映画。ただ、一般人が撮った設定ゆえタルい部分もそれなりに残っているので、BHDや「アシタノセカイ」*1みたいな息切れしそうな疲労感はない と個人的には思う。
冒頭の20分ぐらいによる人間関係の説明や、空気の読めないキャラがカメラを握っていることというあたり、始めは何考えてるんだと思わせておいて実はちゃんと意味があるのだな。
しかしデジタル記録ではありえないはずの「上書き前の」幸せな日常がチロチロ入るのはちと謎。自分はかの「リング」が何故ビデオテープである意味を知ったときに頭掻き毟ってやられたぁと叫んだ男なのでちょっとここはおかしかないかい?と思ってしまった。まぁフラッシュメモリだからフラグメントのひとっ欠片ぐらいはどこかにあるかもしれませんが。あの様子だと全力爆撃の跡地から出てきたようだが、宇和島水産高校のメモリースティック復元の件や、シャトルコロンビアの焼損HDD復元の話が最近もあったので、案外タフなんだろうか。


エンディングで流れる「ROAR!」はズバリ監督いわくオマージュだとか。まぁ聞いただけで一発で分かる代物だがよくやる。日本関連の事項は他にもいろいろネットに上がっているので調べてみるとよいかと。さらに関連する?偽ニュースとその会社の偽サイトも日本語版を含めて造ってある。あと違う視点で衝撃のあの日からをトレスする続編も作成するらしい。偽ニュースは本編では説明されてない謎を内包しているので、そこに突っ込んだ作品ができる可能性はあるのだが、説明されないのもこの映画の特色なのでその持ち味を大事にしてほしいところ。
 ちなみにこの化け物、さすがの「THE地球防衛軍」の主人公やストーム1でも苦戦しそう。小火器はもちろん戦略爆撃機の航空支援もなんのその。さらに辺り中に劇場版13号分離版もしくは群体レギオンを振りまき、そいつに咬まれりゃ某名探偵の映画に出てきたご都合主義ウイルスも真っ青の出血性大爆発でもれなく死亡。隊長、ヤツは本部以上に存在が罠です!!ん、何だこれは。ヤツの肉片か・・・わ、罠だぁ〜!! サンドの人が次回作で刺激を受けてさらに凄いものを出さないか期待と不安が入り混じる。

*1:伊藤計劃氏の呼び方が秀逸だったので採用