杜の都のSF研日記(アーカイブ)

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トールサイズ専用透明ブックカバー自作 完結編 

前回、1ミリに笑い、一ミリに泣き、1000枚単位の前に断念した早川文庫トールサイズ専用の透明ブックカバー。
http://d.hatena.ne.jp/sftonnpei/20090814#1250251018
だが、人間簡単にはあきらめない。今回二種類の方法を用いてリベンジする。その先に答えはあるのか?

方法1:ジャストサイズの透明ポケットを使用する

あの後調べたところ、特殊A5サイズ(160×225)のOPP素材 ・シールつき透明ポケット(いうなれば透明な素材で出来た封筒のこと 書類整理などに使用する)は1000枚単位以外にもあることが判明。「クリスタルパック」とか商標名を持ってるものもあるらしい。今回はコイツを試してみた。

ありがたいことに100枚入りで一枚当たりの単価4円以下。厚みは30ミクロンでちょっと薄めだが、加工はしやすいはず。


では早速作り方を。加工法は前回と同じ。今回は厚紙を157〜160×任意(300以上?)に切り、その上に除去のガイド線を引いてみた(70m&170mm)。これを押し込んで、カッターで表の一枚を切り取る。図では左右区別してるが、この辺は趣味で。

実はこの端の部分が鍵というか難所。うまくやれば接着面から二枚にはがれるのだが、薄い素材だと「ピッ!」と切れ目が入って斜めに裂けたりする。慎重を期すか、はたまた大胆に引っ張るか。このへんも慣れか。

(追記)
透明ブックカバーを使ったことが無い人向けの解説図

ちょうど真ん中に開けられた部分から二枚が重なった部分を使って表紙を保持する形になる(うまい言い方が見つからない…)


というわけで、今回は折り返しにも問題なく。ついに完成だ!

今のところ、本の厚さが25mmあたりまでなら何とかなりそうだ。「厚くなるのがヤだからトールサイズにした」と言っている以上、これ以上厚い本を早川が出さないことを祈ろう(何)
このサイズなら通常文庫も(すきまはあれど)もれなく入るので、手を動かすのが煩わしくなければコストパフォーマンスはヒジョーに高い。お試しあれ。


なお、通常の文庫本は高さは151.5mm(なので150mmのポケットはどう加工しても使用不能
トールサイズや徳間デュアルの高さは157mm(158mmのポケットは… 前も試した通りちょっと余裕がないので使用不能
つまり、最低2mmの余裕がないと入らない という解釈で良さそう。前100円で売ってたディズニー柄(155mm)は狙ったようにピッタリだったが、同じサイズで透明だったらいいのに…なんて考えてしまう。

方法2:熱圧着で無理矢理サイズを整える

OPP(ポリプロピレン)製のこういった透明ブックカバーは、複数のOPPシートを熱で圧着して製造されている。同じことをやればいいんじゃね?というのは理の当然。真っ先に考えたのがグルーガンだが、グルーガンはあくまで内部で溶かしたグルースティックの液体で対象を接着するためこのような用途には不向き*1である。そこで色々と探しているときに目に留まったのが「ハンディシーラー」。食品などの袋は基本的に物を入れてから熱圧着して閉じている。同じことを家庭でもできるようにした台所用品だ。食いさしのポテチを閉じても湿気らないなんて宣伝文句で売られている。もちろん業務用もあるわけだが、安めのものは乾電池駆動。言うならホチキス型「一部だけ」ラミネーター といったところか。…どうやら安物は使いにくいらしい がそう文句も言ってられない。本には気密性までは要求されないし。
問題は発生する熱。低すぎるとそもそも素材が融解してくれないので役に立たないが、高すぎると一瞬で融けて切れてしまうという欠点がある。幸か不幸か今回使用しているクリアポケットは比較的厚めの素材であり、温度が多少高くても一瞬で切れることはないはず。果たしてどうなるか?というわけで作り方はこうなる

16cm×任意(B5の袋を使う場合260mmぐらいは欲しい)の大きさの板(プラだと融けるかもしれないので厚紙とか?)を用意し、これをB5〜サイズのクリアポケットに差し込み奥にしっかりと詰める。今回は先ほど使用した型紙を使用。

準備が整ったところで付け根でハンディシーラーをスライドさせる。実はこれが一番厄介で、うまいことくっつかないこともあれば、ちょっと気を抜くと穴があいたりとコツをつかむのが難しい。本来なら「本を入れてから接着」するのが使い方敵には筋だろうが、ミスって融解したポリプロピレンが本に…とか想像したくないので自重した。
強度は一応確かめる。うまくいけばぴったりくっついてる筈なので、その上の部分(ピッタリ丁度だとまた二つに分離する)をカッターなりハサミなりで切り離し、前回と同じく加工を行えばトールサイズ専用ブックカバーの出来上がり。ダイソーの透明ポケットは厚さ50ミクロンのポリプロピレンで、二枚重ねて折り曲げるのはけっこう骨というか気持ち悪いというか。下の部分を一枚だけ残して除去するのも手である。強度は今のところそれなりだが、見た目はまだ慣れていないためちょっとギザギザしている。うまくまっすぐスライドして一発でくっついてくれればよいのだが。


ただ、本方法を用いれば元の文庫用の通常よりデカイカバーを作成することも可能。一般的な文庫用ブックカバーは長さがせいぜい30cmぐらいしかないため、厚さが一定を超えると接着できずに詰む*2わけだが、このシリーズのクリアポケットはB4(261x364)まであるので、これまで諦めていた「カズムシティ」や「境界線のホライズン」といった化け物にも透明カバーをかけられるはず。見た目は… 慣れるしかないか。一直線にきれいに圧着する直線型の器具もあるらしい。ちょいと家庭のキッチン用品からは外れるように気がしないでもないが。手に入るなら試してみたいものだ。

結論

「早川文庫の新サイズに対応した大きさの透明ブックカバーは、努力すれば手に入る素材で自作可能」
ははは、どうだ参ったか!ビブリオマニアに不可能はない!
…でも、最初から
・早川が文庫を基のサイズで出す
・メーカーが早川の空気を呼んだサイズのカバーを出す
のどちらかが一番っちゃあ一番なんですがね。グインサーガはちゃんと文庫サイズで出てるんだよなー(遠い目)
まぁこれで部屋にあったすべてのトールサイズはカバーをかけることができた。帯付きの徳間デュアル文庫にもかけてやることにしよう。


加工法などで分からないことがありましたらお気軽にどうぞ。なお、発売等の予定はないのであしからず(コラ
(ちゃあしう)

*1:いちおう100均の300円グルーガンでグル―なしで圧着しようとしたが、先端部分は全然熱くならず、縮んで変形してしまうために失敗した。参考までに。

*2:一定の範囲内なら、セロテープで無理矢理止めることも可能。ただしきれいに張り付けるのはけっこう骨。