クライトン追悼
ハヤカワ的にはマイクル・クライトン、一般的にはマイケル・クライトンが66歳で死去 というニュースが流れた。
「ジュラシック・パーク」「アンドロメダ…」は言うまでもなく「ツイスター」「ER」映像作品につながりが深い作家である。
ここではちょっとマイナーどころをつついて追悼としたい。
未来警察
- 出版社/メーカー: ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
- 発売日: 2007/08/29
- メディア: DVD
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ロボット犯罪とは聞こえがいいが、実質地元のトラブル解決人的な閑職をやってる元凄腕警察官、謎のロボット暴走多発とどこかで聞いたような感じをあくまで現実の延長上的世界でやってる地味ながらいろいろと興味深いB級SF映画。壁や天井に張り付いて接近、液体プラスチック爆弾をターゲットに注射する殺人ロボ、ピストルから発射できる対人赤外線誘導ミサイル、偵察用小型飛行カメラ、ロボットのセンサーに反応しない電磁波吸収ジャケットなどなど変わったガジェットが登場する。しかし刑事ものにトラウマ克服話ってのは必須なのか?本作でも閑職をやってる理由がまさにそれだったりする。
ターミナル・マン
- 作者: マイクルクライトン,Michael Crichton,浅倉久志
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 1993/04
- メディア: 文庫
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・・・だがコケてる感じ(ぇー
当時研究されていたスティモシーバーの発展系のようなものであるようだ
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%A2%E3%82%B7%E3%83%BC%E3%83%90%E3%83%BC
スティモシーバーもあまりに進んだ研究であったせいか理解がなかなか得られず、さらには宇宙人誘拐と同様の「おれは政府にマイクロチップを埋め込まれて操られている!」というデムパな人が登場して裁判を吹っかけられる始末。研究はその後打ち切られている。
テーマが新しいのにできてしまった「怪物」や進め方が古典的なのが難点。人工知能と殺人のような誰かにつながる話も見受けられる。時代が時代なんでこっちもELIZAに毛が生えたようなものだが。
そういや手塚治虫・BJ封印作品のひとつで、少年がスティモシーバーを埋め込まれる話「快楽の座」もこれが元ネタか?
調べてみると「ターミナル・マン」原作発表が1972年、映画化「電子頭脳人間」公開と日本語版出版が1974年。そして「快楽の座」は初出が週刊少年チャンピオン1975年1月20日号 。可能性はありそう。
現代の治療においては、「快楽」を直接与えるわけではないのでわざと発作が起きることはないようだが果たして*1?
また、ここで扱われてるケースで思い出すのは「仙台で発生した仙台地裁で自殺する権利を争った『ロボトミー殺人事件』とその顛末」
http://blog.livedoor.jp/dqnplus/archives/1093286.html
http://b.hatena.ne.jp/entry/7523554
ケンカひとつでロボトミーを施された男の恐るべき、そして哀れな結末。経路は違うが「精神外科」のもつ歴史背景としてちょっと興味深い。人間がどこまで人間であり続けるか、そのラインはまだまだ混とんとしてる。おそらくこれからもだろう。
ウエストワールド
- 出版社/メーカー: ワーナー・ホーム・ビデオ
- 発売日: 2000/04/21
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ロボの視界をCGで再現したシーンがあるが、どう見ても荒いモザイクをかけただけにしか見えない(!)なんてのは今だと笑うところか。でもこういうロールプレイ型テーマパーク、けっこう理想ではある。ちなみに自分も勘違いしていたがロボの目は赤く光ったりしない。
もう一個ぐらいテーマパーク物がほしかったなというのが個人的感想。でも恐竜も人工知能もやってるし・・・あとは宇宙ぐらいか?
英語版ウィキペディアによると、環境問題に関するエキセントリックな言説はちょいと話題に乗っていたがほかにも「SETIもまた宗教みたいなもんだ 科学じゃない」みたいなことも言っていたとか。
http://en.wikipedia.org/wiki/Michael_Crichton#Speeches
こういうのもSF界との距離につながっているのかも。
なにはともあれ、文学に先端の話題で果敢に殴り込みをかけて成功している数少ない一人であるわけで
これからもLHC稼働、死亡細胞からのクローン誕生といった話題がある中でガンで亡くなるとは非常に残念である。
…しかしホント今年はSF界隈で多い。このままいくと御三家の「あの人」の健康がちょっと心配に…
(ちゃあしう)